日曜日。妻には食料品を買いに行く、っていう理由を付けて西友に出かける。勿論、食料品なんて何でも良くて、ホットウィールがお目当てなのだけれど。発売日から1日経っているので、期待はしていない。でももしかしたら、思わぬものが残ってたりするかもしれない。ネギが安い。しかし野菜売り場には目もくれず、お魚コーナーも魚と目を合わせず、ひたすらオモチャ売り場を目指す。さて、どうだろう。
7台。わずか7台しか残っていない。そのほとんどが謎車。かろうじて金色のパガーニがいたが、あとはもう、拾ってくれる人を待ち侘びるキャスト達。予想を超えて残っていなかった。肩を落とすも、そういえばこどもがこのパガーニを欲しがっていたことを思い出し、これだけ購入。いつの世も、こどもは金色とか、キラキラしたものに弱いのだ。小学生の頃、ビックリマンシールでキラキラの聖梵ミロクを引き当てた時の事は、今でもはっきりと思い出せる。帰り際、アリバイ作りにお買い得なネギも買って帰る。
さて、落穂拾いは失敗に終わったが、単品販売で注文していたMIGHTY Kが届いたので、今日はこちらを開封。故RYU ASADA氏が遺した傑作である。
MIGHTYというと、ファミコンのテクモ参入第一作目、マイティボンジャックが真っ先に浮かぶおじさん世代であるが、MIGHTYは「力強い」とか「強大な」とか、そんな意味合いがある。そして「K」、これはもう軽トラの「軽」にかけたと見ていいだろう。
オリジナルデザインだが、白黒の、これは間違いなく軽トラである。どのパーツが軽トラらしく見せているのかわからないが、とにかくこれはどう見ても軽トラなのだ。大きく見開いて、目尻の上がったランプに、がっちりとした口周りのパーツ、そしてスポイラーと、いかにもマイティーな顔付きをしている。
横から見たら一目瞭然、やはり軽トラなのだが、そこはやはりホットウィール、ただ似せただけでは終わらない。しっかりと盛り上がったフェンダーが力強さを演出している。
ドアにはASADA氏の名前入り。良くみるとカタカナでもアサダと描いてある。TIRE SHOPともあるので、なるほどこれはタイヤ屋の車だったのか。
後方にはいつものフォントでホットホイールの文字。注目したいのは、長音記号がチェッカーフラッグになっている部分。こういうところなのだ。大切なのは。このちょっとした遊び心に、デザインの面白さに、心をガシッと掴まれるのだ。
リアにもASADA印、そしてなんと言っても黄色のナンバーが素晴らしい。これぞ軽のアイコンであり、今作ではさらに大阪ナンバーなのだ。赤、オレンジの2色使いのランプと、黄色のナンバーのコントラストも実に良い。
小さく纏まっているが、プラ感はあまり感じず、むしろ金属の質感、重さが伝わってくる。昨今のコスト削減によるプラ感丸出しとは別物である。
どの角度から見ても、非の打ち所がない。オリジナルなのに、パーツ1つ1つがかなり計算されているように思う。
タイヤショップゆえ、荷台にタイヤを積んでいる。
そしてもう一つ、なんとスケートボードを積んでいる。これがトドメ。完全にやられた。敢えて言えば、往年のホットウィーラーならば、サーフボードを期待するところだが、スケートボードもまた良し。
数々の名作を世に送り出したASADA氏であるが、これもまた、不朽の名作であろう。そして、「白黒」という、軽トラのアイデンティティとも言うべきカラーリングは、もしかしたらこのファーストモデルでしか見られないかもしれない。思っている以上に、貴重な貴重な1台なのかもしれない。